終業式朝
終業式当日。
浜中家。
朝。
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香葉は鏡の前に立っていた。
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ベージュのワイドパンツ。
手編みのレース。
白いブラウス。
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そして。
首元には小さな葉っぱのペンダント。
父から誕生日にもらったもの。
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普段はあまり付けない。
でも今日は何となく付けたくなった。
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「よし。」
小さく頷く。
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その時。
「香葉ー。」
母の声。
「朝ご飯できたわよ。」
「今行くー。」
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階段を降りる。
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リビングへ入った瞬間。
母の視線が止まる。
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「素敵なパンツね、、、^_^」
香葉は少し笑う。
「でしょ。」
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母はパンツを眺める。
レース。
シルエット。
裾の揺れ方。
そして。
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「いつの間に買ったの?」
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香葉
「……。」
母
「……。」
香葉
「自作ですけど、、、」
母
「えっ、、、」
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香葉はレース部分を摘まむ。
「このレース見覚えない?」
母は目を凝らす。
数秒。
そして。
「あっ、、、」
思い出したらしい。
「この前編んでたやつ!?」
「そう。」
「えっ、、、」
「そう。」
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母はパンツをもう一度見る。
そして。
レースを見る。
もう一度パンツを見る。
「えっ、、、」
二回目だった。
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香葉は吹き出す。
「さっき聞いた、、、笑」
「だって完成してると思わなかったのよ!」
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母は本気で驚いている。
香葉は少し照れ臭そうに笑った。
「まあまあ良くできたでしょ。」
母は頷く。
「良くできたどころじゃないわ。」
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そして少しだけ誇らしそうに言った。
「やっぱり香葉は作るの好きなのね。」
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香葉はペンダントを指先で触る。
好き。
その言葉は妙にしっくりきた。
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病院も。
検査も。
不安もある。
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でも。
好きなものは変わらない
服を作ること。
デザインすること。
夢を見ること。
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その時。
母がふと首元を見る。
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「あら。」
「何?」
「ペンダント付けるなんて珍しい。」
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香葉は少しだけ笑った。
「今日は何となく。」
母も微笑む。
「お父さん喜ぶわね。」
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窓の外では夏の青空が広がっていた。
終業式の日。
香葉は少しだけ胸を張って家を出た。




