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パンツ
「……。」
香葉は完成したパンツを見つめる。
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窓から差し込む夏の日差し。
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ベージュの生地。
繊細なレース。
思ったより良い出来だった。
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「今週末の終業式に履いていこうかな……。」
思わず口に出る。
少しだけ。
ほんの少しだけ楽しみになる。
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鏡の前へ立つ。
もう一度履いてみる。
くるり。
レースが揺れる。
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「うん^_^^_^」
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悪くない。
むしろ結構好きかも。
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終業式。
みんな来るかな。
根元さんは絶対来る。
蛍原さんも来る。
古畑も。
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「……。」
そこでふと考える。
古畑気付くかな。
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いや。
あの人意外と気付く。
体調も。
気分も。
隠したいことも。
何でか分からないけど気付く。
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「まぁいっか。」
香葉は笑う。
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別に気付かれなくてもいい。
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でも。
もし気付いたら。
ちょっと嬉しいかもしれない。
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机の上には集合写真。
スマホにはクラスブログ。
クローゼットには終業式に着ていくパンツ。
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そして来週には検査入院。
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不安は消えない。
でも。
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終業式までは。
もう少しだけ。
普通の高校三年生でいたかった。
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香葉は完成したパンツを丁寧に畳んだ。
「楽しみ^_^」
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その呟きは、
久しぶりに未来へ向いた言葉だった。




