集合写真
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担任の声が校庭に響く。
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「写真撮るぞー!」
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「はーい笑笑」
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「まだ遊びたいー笑」
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あちこちから声が返ってくる。
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香葉はゆっくり立ち上がった。
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さっきより少し楽だ。
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まだ本調子じゃない。
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でも歩ける。
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校庭へ向かう。
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みんなの声が近付いてくる。
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その時。
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「先生ぇぇぇ、、、笑笑」
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、、、、、、
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「うわっ、、、笑笑」
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担任が水鉄砲の餌食になっていた。
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「集合写真撮るから呼んだんだぞ、、、笑笑」
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、、、、、、
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「おぃこら、やめろ、、、笑笑」
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さらに水が飛ぶ。
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クラスは大爆笑。
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「先生びしょ濡れ笑笑」
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「最後だからー笑笑」
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「最後なら許されると思うな、、、笑笑」
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担任も笑っている。
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完全に諦めていた。
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香葉は思わず吹き出す。
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本当に。
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このクラスらしい。
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その時。
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「浜中。」
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聞き慣れた声。
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振り返る。
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古畑亮だった。
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髪も。
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シャツも。
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びしょ濡れ。
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「何その格好、、、笑」
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「誰のせいだと思ってる。」
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「知らない笑」
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「根元。」
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即答だった。
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二人とも笑う。
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その時。
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担任が手を叩く。
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「はいはい並べー!」
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「撮るぞー!」
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クラスメイト達が集まり始める。
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前列は座る。
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後列は立つ。
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わちゃわちゃ。
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全然整列しない。
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「古畑そこ邪魔ー!」
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「ひど。」
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「先生もっと真ん中!」
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「お前らが撃つからだろ笑」
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また笑い声。
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香葉は後列へ向かう。
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その時。
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「浜中。」
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また亮。
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「何。」
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「ここ。」
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自分の隣を指差す。
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「何で。」
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「何となく。」
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「適当。」
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「否定しない。」
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香葉は呆れながらその場所へ立った。
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先生がスマホを構える。
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「いくぞー!」
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みんな前を見る。
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笑顔。
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笑い声。
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水浸しのシャツ。
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夏の日差し。
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高校三年生。
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最後のクラスレク。
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「はいチーズ‼︎」
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シャッター音。
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その瞬間。
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香葉も笑っていた。
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自然に。
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心から。
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そしてその写真は、
後になっても消せない一枚になる。
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みんなの笑顔が写った、
あの夏の記憶として。




