表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/74

疑問

亮は校庭へ戻っていく。



「古畑ぁぁぁ笑笑」



「遅いぞー笑笑」



「裏切り者ー!」



すぐにクラスメイト達に囲まれる。



相変わらずだ。



香葉は体育館横の日陰からその背中を見ていた。



眩しい。



夏の日差しのせいか。



それとも。



別の理由か。



「……。」



ふと考える。



最初は。



本当にくだらないことだった。



男子の間で流行っていた遊び。



クラスの女子を誘うとか。



仲良くなるとか。



そんな軽いノリ。



だから。



どうせすぐ終わると思っていた。



数日。



長くても一週間。



そう思っていた。



なのに。



気付けば七月。



二ヶ月以上経っている。



毎朝ホームで待っている。



学校で見つける。



帰りも気にする。



体調を気にする。



「無理すんなよ。」



何度聞いただろう。



「……。」



香葉は膝を抱えた。



何でなんだろう。



何でいつも私を見てるんだろう。



何で気にするんだろう。



別に。



クラスで一番明るい訳でもない。



面白い訳でもない。



目立つ訳でもない。



むしろ逆だ。



目立たないようにしている。



なのに。



古畑だけは見つける。



気付く。



知られたくないことまで。



隠したいことまで。



すぐ気付いてしまう。



駅で疲れていること。



体育館横へ逃げたこと。



さっきだってそうだ。



立ち上がった瞬間。



真っ先に気付いた。



「……。」



香葉は小さく笑った。



不思議な人。



面倒臭い人。



暇人。



『結構忙しい。』



思い出して少し笑う。



いや。



本当に忙しいのかもしれない。



私を気にするのに。



そんなことを考えてしまった自分に、


香葉は少し驚いた。



その時。



校庭から笑い声。



古畑がまた水風船をぶつけられている。



「何で俺ばっかり笑笑」



「反応が面白いからー笑笑」



みんなが笑う。



香葉もつられて笑った。



そして。



ほんの少しだけ。



思う。



来年の夏。



私は何をしているんだろう。



古畑は何をしているんだろう。



そんなことを考えた自分に、


今度は少しだけ戸惑った。



風が吹く。



校庭には夏の光が降り注いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ