水鉄砲
「浜中ー!笑笑」
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女子グループの誰かが叫ぶ。
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香葉が振り返る。
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嫌な予感。
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ものすごく嫌な予感。
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その予感は当たった。
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、、、
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水鉄砲。
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しかも大型。
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完全に狙われている。
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「香葉、いくよー笑笑」
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「えっ。」
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「待って。」
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「待たなーい笑」
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香葉は思わず後ずさる。
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そして。
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「やめて笑笑笑」
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逃げた。
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全力で。
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両手を身体の前へ出して。
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ガードするみたいに。
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意味があるのか分からない防御姿勢。
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「無理無理無理笑笑」
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、、、、、、
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「きゃぁぁぁ笑笑」
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逃げる。
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笑う。
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また逃げる。
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追いかけられる。
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完全に獲物だった。
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周囲も大爆笑。
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「浜中速い笑笑」
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「逃げるなー笑笑」
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「嫌だー笑笑」
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亮は少し離れた場所からその様子を見ていた。
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そして。
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気付く。
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「あ……。」
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浜中って。
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あんなに笑う事あるんだ……。
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いつもは。
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「何。」
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とか。
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「別に。」
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とか。
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「失礼、、、」
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とか。
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そんな感じなのに。
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今の香葉は違った。
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楽しそうだった。
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本当に。
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心の底から。
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笑っている。
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風に揺れる髪。
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無邪気な笑顔。
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逃げながら振り返る姿。
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その全部が。
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亮の知らない浜中香葉だった。
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「……。」
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亮はしばらく動けなかった。
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理由は分からない。
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でも。
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見ていたいと思った。
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もっと。
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その時。
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、、、、、、
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「冷たっ!!笑」
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亮の背中に水風船直撃。
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「古畑ぼーっとしてる笑笑」
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「狙い放題じゃん笑笑」
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クラスメイト達が笑う。
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亮は我に返った。
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「何すんだよ笑笑」
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周囲が笑う。
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亮も笑う。
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でも。
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その直後。
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視線は自然と香葉を探していた。
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本人はまだ気付いていない。
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何が変わったのか。
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何故こんなに気になるのか。
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ただ一つだけ。
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確かなことがあった。
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今日の浜中は。
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いつもよりずっと可愛かった。




