教室
朝の教室。
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「おはよー!」
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「暑い!」
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「朝からそればっかりじゃん。」
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「だって暑いんだもん。」
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教室は今日も賑やかだった。
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誰かが笑っている。
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誰かが宿題を写している。
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誰かが購買の新作パンの話をしている。
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いつもの朝。
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その時。
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ガラッ。
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教室のドアが開く。
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「お。」
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誰かが言った。
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「古畑じゃん。」
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「今日来るのちょっと遅くない?」
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「寝坊?」
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亮は苦笑する。
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「違うから」
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鞄を肩から下ろす。
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「電車遅らせただけ。」
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「同じじゃん。」
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「違う。」
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「何が。」
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「ちゃんと遅刻してないから、、、笑」
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教室に笑いが起きる。
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「意味分かんねぇ。」
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「古畑理論だ。」
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「新しい。」
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亮も笑う。
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その後ろ。
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少し遅れて教室へ入る香葉。
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誰も気付いていない。
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いや。
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一人を除いて。
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「浜中も遅かったじゃん。」
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亮が振り返る。
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香葉は即答した。
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「遅刻してない。」
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「俺も。」
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「知らない。」
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「ひど。」
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また笑いが起きる。
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香葉は自分の席へ向かう。
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そして思う。
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相変わらずだな。
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朝から元気。
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何であんなに元気なんだろう。
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昨日もあれだけ話していたのに。
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今朝も駅で会ったのに。
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まだ元気。
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電池で動いてるんじゃないか。
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そんなことを考える。
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亮は友達に囲まれている。
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何か話している。
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笑っている。
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本当にいつも通り。
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香葉は窓の外を見る。
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青空。
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強い日差し。
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今日も暑くなりそうだ。
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その時。
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亮の笑い声が聞こえた。
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思わずそちらを見る。
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楽しそうだ。
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そして。
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少しだけ羨ましい。
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何かを好きで。
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誰かと笑って。
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毎日を全力で過ごしている感じ。
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「……。」
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香葉は頬杖をつく。
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その時。
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亮がこちらを見た。
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目が合う。
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一秒。
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二秒。
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亮がニヤッと笑った。
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嫌な予感。
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「浜中。」
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ほら来た。
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「何。」
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「今俺見てたろ。」
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「見てない。」
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「見てた。」
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「見てない。」
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「見てた。」
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香葉はため息をつく。
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相変わらず面倒臭い。
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でも。
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少しだけ。
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いつもの朝が戻ってきた気がした。




