表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/74

通学

家を出る。



朝の日差しはまだ柔らかい。



それでも。



六月の空気はすでに夏だった。



「暑い……。」



香葉は駅へ向かって歩く。



住宅街。



通学路。



いつもと同じ景色。



なのに。



今日は妙に遠く感じた。



数分歩いただけ。



本当にそれだけなのに。



身体が重い。



足が前へ出ない訳じゃない。



息が切れる訳でもない。



ただ。



じわじわと体力が削られていく感覚。



「何なの……。」



小さく呟く。



昨日の朝より体調は良かったはずだ。



ちゃんと眠った。



朝ご飯も食べた。



なのに。



駅が見えた頃には、


すでに疲れていた。



ホームへ続く階段を上る。



一段。



また一段。



「……。」



足が少し重い。



気のせい。



そう思いたい。



そう思うしかない。



ホームへ到着。



朝の人混み。



電車を待つ人たち。



香葉はベンチへ腰を下ろした。



珍しいことだった。



いつもなら立って待つ。



でも今日は。



少しだけ座りたかった。



スマホを取り出す。



画面が光る。



古畑亮


もう駅着いた?



香葉は思わず笑った。



香葉


着いた



送信。



数秒後。




俺も



その直後。



「浜中。」



聞き慣れた声。



香葉はため息をつく。



「早い。」



顔を上げる。



そこには当然のように亮が立っていた。



「何その顔。」



「別に。」



「絶対別にじゃない。」



亮はそう言いながら、


ふと香葉を見る。



そして少しだけ眉をひそめた。



「疲れてる?」



香葉は視線を逸らす。



まただ。



どうしてこの人は。



自分が隠したいことばかり見つけるんだろう。



「暑いだけ。」



亮は何も言わない。



ただ。



少しだけ納得していない顔をした。



ホームに風が吹く。



電車が近付いてくる音が聞こえる。



香葉は目を閉じた。



学校までまだ半分。



なのに。



今日はもう、


一日の終わりみたいに疲れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ