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午前授業終了
四時間目終了。
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チャイムが鳴る。
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「終わったー!」
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教室が一気に騒がしくなる。
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「じゃあなー!」
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「部活ある人頑張れー。」
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「帰って寝る。」
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そんな声が飛び交う。
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午前授業の日。
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みんな解放感に満ちている。
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香葉はゆっくり教科書を片付けた。
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正直。
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少し疲れていた。
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一時間目の立ちくらみ。
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その後は何事もなかったけれど、
身体の重さは残っている。
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「浜中。」
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聞き慣れた声。
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「何。」
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「帰る?」
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古幡亮だった。
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「帰る。」
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「病院行くの?」
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香葉は一瞬固まる。
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母との会話を思い出した。
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『午後から先生に診てもらったら?』
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『大丈夫だよ。』
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「行かない。」
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亮は少しだけ眉をひそめる。
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「そう。」
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「何その顔。」
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「別に。」
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亮が香葉の真似をして言った。
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香葉は思わず笑う。
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「真似した。」
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「してない。」
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「した。」
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「してない。」
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またいつものやり取り。
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でも。
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亮は最後に小さく言った。
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「無理すんなよ。」
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香葉は答えない。
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答えなかったけれど。
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少しだけ。
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胸が温かくなる。
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学校を出る。
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六月の日差し。
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少し暑い風。
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午後はまだ長い。
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そして香葉は知らない。
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この後、自分の身体が思っている以上に限界へ近付いていることを。




