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ブログ

「……。」


香葉はベッドの上で膝を抱えた。


不安ばかりが頭を巡る。


その時、一瞬だけ、あってはならない考えが頭をよぎる。


――家の力を使えば……。


「……。」


浜中産業。


服飾業界で知らない人はいない会社。


曾祖父が創業し、祖父、父へと受け継がれてきた。


その名前を出せば、何かが変わるのかもしれない。


でも――。


「……何考えてるの、私。」


パチン。


自分の両頬を軽く叩く。


「違うでしょ!」


そんなことで入学しても意味がない。


自分の力で受かりたい。


自分の作品を評価してもらいたい。


だから、この大学を目指しているんじゃないか。


香葉は大きく息を吐き、スマートフォンを手に取る。


「……あ。これって、、、。」


ふっと思い出したのは、、、。


五月の終わり。


まだ古畑を”ちょっと鬱陶しい人”と思っていた頃のブログだった。


思わず小さく笑ってしまう。


『ピンチはチャンスに。』


『逆境だったりするときに、よし、やってやる!って。』


『ほっぺをペチッと叩いて踏ん張るぞ!』


「ふふっ……。」


自然と笑みがこぼれる。


さっき自分が頬を叩いたばかりだった。


「……古畑らしい。」


単純で、真っすぐで。


でも、不思議と今はその言葉が胸に響く。


香葉はスマートフォンを胸の上に置き、小さく呟いた。


「……よし。」


「私も、踏ん張ろう。」

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