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不安
分かっていた。
Ⅱ期に出願することになれば、不利になることくらい。
この募集要項は、入院前から何度も何度も見てきた。
だから、募集人数が少ないことも知っていた。
頭では分かっていた。
でも――。
いざ現実として目の前に突き付けられると、胸がざわつく。
「10人……。」
小さく呟く。
たった10人。
その枠に、自分は入れるのだろうか。
香葉はスマートフォンをそっと伏せた。
「……一般受験。」
その言葉も頭をよぎる。
一般受験なら募集人数は総合型選抜より多い。
公平に学力で勝負できる。
でも――。
「今から勉強して……間に合うのかな。」
入院中も夏休みの課題は終わらせた。
それでも、受験勉強とは別だ。
みんなは夏休みを使って受験対策を進めている。
自分だけ、病室で検査や点滴を受けながら過ごしていた。
その差を思うと、不安ばかりが膨らんでいく。
香葉はゆっくりと窓の外へ目を向けた。
青く澄んだ夏空は、どこまでも高かった。
「……どうしよう。」
その呟きは、誰にも届かないまま静かな病室に溶けていった。




