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翌朝

翌朝

朝食をきれいに完食した香葉は、ベッドのテーブルにスマートフォンを置いた。


画面には、第一志望の大学の総合型選抜入試募集要項が表示されている。


入院する前から、何度も何度も読み返してきたページだった。


『本学の教育内容を十分に理解し、入学後の目標が明確な者。』


香葉はその一文をじっと見つめる。


「……明確な目標。」


小さく呟く。


ある。


目標なら、はっきりしている。


“自分のブランドを立ち上げて、いつかパリコレに出る。”


それだけは、何があっても変わらない。


画面をスクロールする。


『本学を第一志望とし、合格後は必ず入学する者。』


「もちろん。」


迷うことなく頷く。


第一志望は、この大学しかない。


その気持ちも、入院して変わることはなかった。


さらに募集要項を読み進める。


香葉の指が止まった。


【募集人数】


Ⅰ期 100名


「100人……。」


少し安心しかけた、その直後。


出願期間に目が留まる。


Ⅰ期出願締切 9月末


香葉は静かに息を吐いた。


入院する前から課題もポートフォリオも少しずつ準備していた。


けれど、入院が長引いたことで制作は止まってしまった。


退院してからでは、とても間に合わない。


「……無理か。」


そのまま画面を下へ送る。


Ⅱ期 募集人数 10名


「……え。」


思わず見返す。


さっきまで100人だった募集人数が、一気に10人へ減っていた。


「10人……。」


病室が急に静かになった気がした。


募集人数が10分の1。


当然、倍率も高くなる。


簡単ではない。


スマートフォンを握る手に少しだけ力が入る。


「でも……。」


香葉はもう一度募集要項を見つめた。


「受けないって選択肢はない。」


入院したから。


病気だから。


そんな理由で夢を諦めるつもりはない。


10人でも、1人でも。


挑戦することだけは決めていた。

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