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翌朝
翌朝。
病室のカーテンの隙間から、柔らかな朝日が差し込んでいた。
検温を終え、朝食も食べ終えた頃。
テーブルの上に置いていたスマートフォンが、小さく震える。
母
香葉は画面を開いた。
『退院の目処が立って良かったわね^_^』
『先生から昨日お話を聞きました。』
続けてもう一通。
『お父さん、8月末には帰国できるって。』
『良かったわね^_^』
その一文を見た瞬間、香葉の目が大きくなる。
「……本当に?」
思わず声が漏れた。
夏休み中には会えないかもしれない。
そんな不安が、ずっと胸のどこかにあった。
でも、退院の目処が立ち、父の帰国も決まった。
少しずつ、止まっていた時間が動き始めている気がした。
香葉は窓の外を見る。
真っ青な夏空。
蝉の鳴き声が病室まで聞こえてくる。
「……もう少し。」
自然とその言葉が口をついた。
もう少し頑張れば、この景色を病院の外から見られる。
父にも会える。
学校にも戻れる。
そして——。
ふと頭に浮かぶのは、あの日のLINE。
『でもちゃんと退院したら行こ。浜中、黒糖派だっけ?』
香葉は思わず笑った。
「……黒糖派ですよ。」
誰もいない病室で、小さく呟く。
約束していたタピオカも、もう少しで現実になりそうだった。




