表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
108/218

1人

病室は静かだった。



さっきまでいた母の姿はもうない。

笑っていた声も、

心配そうに見つめる視線も。

今はない。



「……。」



香葉はベッドへ腰を下ろした。



夕食は思ったより食べた。



母にも褒められた。



診察の時も。

病室でも。

ちゃんと笑えた。



大丈夫だと言えた。



でも。

一人になった途端だった。



急に怖くなる。

急に静かになる。



急に現実が近付いてくる。



主治医の言葉。

年配の医師の表情。



『もう少し詳しい検査と経過観察が必要です。』

その言葉が何度も頭の中で繰り返される。



「……。」



本当は怖い。

すごく怖い。



今後どうなるんだろう。



学校は。

進路は。

服は作れるのかな。

普通に生活できるのかな。

そんな考えばかり浮かんでくる。



香葉は枕元のスマホを見る。



朝から開いていないLINE。



古畑亮。



一番上に表示されたまま。



「……。」



開けばいいのに。



そう思う。



でも、

開いたら、、、

気が抜けてしまいそうだった。



気丈でいる自信がなくなりそうだった。



主治医の前では平気だった。

母の前でも平気だった。



でも。



一人になると気持ちは正直だ。



強がりは長く続かない。



香葉はスマホを手に取る。



画面が光る。



古畑亮。



その名前を見るだけで、

少しだけ胸が熱くなる。



そして同時に。

少しだけ安心してしまう自分もいた。



「……。」



香葉は小さく息を吐いた。



病室の時計は静かに時を刻んでいる。

長い夜になりそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ