夕食
夕食の時間。
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コンコン。
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「失礼しまーす。」
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看護師が夕食を運んでくる。
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香葉はトレーを見る。
そして。
母を見る。
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母も香葉を見る。
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数秒。
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沈黙。
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「食べる。」
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母だった。
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「……。」
「食べる。」
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もう一度言う。
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「食欲ない、、、」
「知ってる。」
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「じゃあ。」
「食べる。」
三回目、、、笑
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「お母さん草川さんみたいになってる-_-」
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母
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笑笑笑
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「同じこと言われたの?笑」
「毎日言われてる。」
「じゃあ草川さん正しい。」
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味方が増えた。
最悪だ。
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香葉は観念して箸を持つ。
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一口。
二口。
三口。
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母はじっと見ている。
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「見過ぎ、、、」
「ちゃんと食べてるか確認してるの。」
「監視じゃん。」
「監視です、、、笑」
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香葉
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-_-
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結局。
半ば強制的に夕飯を食べさせられた。
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食べ終わる頃には、
思っていたより食べていた。
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「ほら。」
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母は満足そうに笑う。
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「食べられた。」
「……。」
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悔しい。
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でも。
少しだけ身体が楽になった気もする。
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時計を見る。
そろそろ帰る時間だった。
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母は立ち上がる。
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バッグを肩に掛ける。
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「じゃあ」
「うん。」
「また明日来るから。」
「うん。」
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香葉は笑う。
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「ありがとう^_^」
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母も笑う。
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「おやすみ。」
「おやすみ。」
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ドアが閉まる。
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静かになる病室。
さっきまで感じなかった静けさが
急に大きくなった気がした。
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香葉は窓の外を見る。
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もう夜だった。
そして。
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ベッドの横に置かれたスマホへ、
ゆっくり視線を向けた。




