病室
病室。
診察室から戻った二人。
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部屋には静かな空気が流れていた。
母は荷物を整理している。
香葉はベッドへ腰掛けた。
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「……。」
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不思議だった。
診察前の方が怖かった気がする。
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結果を聞いた今の方が、
少しだけ落ち着いている。
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香葉はふっと笑った。
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「思ったより元気^_^」
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母
「えっ?」
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「やっぱりねー。」
香葉は天井を見る。
「何かあるとは思ってたし。」
「……。」
「覚悟してたから大丈夫、、、笑」
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明るい声。
いつもの香葉。
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でも。
母は娘の顔を見つめる。
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「……。」
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少しだけ違和感があった。
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診察前。
あんなに不安そうだった。
それなのに。
今は妙に落ち着いている。
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まるで。
覚悟を決めてしまったみたいに。
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「香葉。」
「ん?」
「無理してない?」
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香葉は笑った。
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「してない^_^」
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即答。
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でも。
その即答が少しだけ母を不安にさせる。
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香葉は続ける。
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「だって今さら騒いでも仕方ないじゃん。」
「検査する。」
「治療する。」
「大学も行く。」
「服も作る。」
「以上、、、笑」
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母
「簡単に言うわね。」
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「簡単だもん。」
香葉は笑う。
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本当は簡単じゃない。
自分が一番分かっている。
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でも。
母の方が今にも泣きそうだった。
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だから。
今日は自分が元気でいようと思った。
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「お母さん。」
「なに?」
「そんな顔しないの、、、笑」
「私の方が病人なんだから。」
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母
「、、、」
そして、
思わず笑った。
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「何その理論、、、笑」
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病室に久しぶりに笑い声が響く。
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でも。
その笑顔の奥にある不安を、
母だけは見逃していなかった。
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何だか。
立場が逆転している気がした。
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昔は。
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泣いている香葉を励ましていたのに。
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今は、
香葉の方が母を励ましていた。




