表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
104/201

結論

主治医は一度言葉を区切った。



診察室は静かだった。



香葉も母も、

次の言葉を待っている。



主治医は穏やかな口調のまま続けた。



「今後のためにも。」

「治療方針も含めて、もう少し詳しい検査と経過観察が必要になります。」



「……。」



香葉は俯く。



やっぱり。

そんな気がしていた。



主治医はモニターを見ながら説明を続ける。



「今回の採血結果や画像検査だけでは、まだ判断しきれない部分があります。」

「ただ。」

「体調の変化がここ数か月ではっきり出ている。」

「そして検査結果にも変化が出ている。」



母が静かに尋ねる。



「入院は延びるのでしょうか。」



主治医は頷いた。



「はい。」

「予定していた期間では難しいと思います。」



香葉は目を閉じる。



やっぱり。



帰れないんだ。



学校。



友達。



夏休み。



頭に浮かんでは消えていく。



年配の医師が初めて口を開いた。



「浜中さん。」



香葉は顔を上げる。



「今は不安だと思います。」

「……はい。」

「でも。」

「原因が分からないまま過ごすより。」

「今しっかり調べた方がいい。」



静かな声だった。



脅かすでもなく。



誤魔化すでもなく。



ただ事実を伝えてくれる声。



主治医も続ける。



「幸い。」

「今すぐ緊急の治療が必要な状態ではありません。」

「だからこそ。」

「落ち着いて検査ができる。」

「そして今後の生活を考えた治療方針を決めていける。」



香葉は小さく頷く。



頭では分かっている。



でも。

心が追いつかない。



主治医はそんな香葉を見ながら優しく言った。



「焦らなくていい。」

「五日間、本当によく頑張った。」

「ここから先は、一緒に整理していこう。」



その言葉に。



香葉は初めて少しだけ肩の力を抜いた。



まだ終わらない。



でも。



一人で抱える必要もないのかもしれない。



そう思えたのは、

ほんの少しだけ前に進んだ気がしたからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ