診察室
「浜中さん。」
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診察室のドアが開く。
主治医が穏やかな笑顔で迎えてくれた。
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「どうぞ。」
「失礼します。」
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香葉と母は診察室へ入る。
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主治医はいつもと変わらない。
優しい声。
穏やかな表情。
でも。
香葉はすぐに気付いた。
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「あ……。」
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診察室にはもう一人いた。
年配の医師。
白衣姿。
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六十代くらいだろうか。
眼鏡を掛けている。
静かな表情でカルテを見ていた。
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香葉の胸がざわつく。
何で。
何で先生が二人いるんだろう。
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主治医は椅子を勧める。
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「座ってください。」
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香葉と母は並んで腰を下ろした。
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年配の医師も顔を上げる。
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そして優しく微笑んだ。
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「初めまして。」
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「……。」
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香葉は軽く頭を下げる。
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主治医が説明する。
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「こちらは膠原病内科の先生です。」
「今回、一緒に診てもらっています。」
「……。」
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膠原病。
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その言葉だけが頭に残る。
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香葉は無意識に母を見る。
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母の表情も少し硬い。
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主治医はモニターへ視線を向けた。
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そして。
いつもより少し慎重な声で話し始める。
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「今日は検査結果についてお話しします。」
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診察室の空気が変わる。
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香葉は膝の上で手を握った。
心臓がうるさい。
聞きたくない。
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でも聞かなきゃいけない。
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主治医はカルテを開いた。
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「まず最初に。」
「命に関わるような緊急の状態ではありません。」
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その言葉に。
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母が小さく息を吐いた。
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香葉も少しだけ肩の力が抜ける。
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しかし。
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主治医は続けた。
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「ただし。」
「いくつか詳しく調べる必要がある結果が出ています。」
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再び。
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診察室に静かな緊張が広がった。




