五日目
検査入院も五日目になっていた。
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採血。
心電図。
エコー。
レントゲン。
診察。
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毎日何かしらの検査。
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気が付けば。
疲れ切っていた。
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「疲れた……。」
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ベッドの中で小さく呟く。
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病室は静かだった。
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午前中の検査が終わったばかり。
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本当なら少し休めばいい。
でも。
身体より心の方が疲れている気がした。
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スマホは枕元。
画面には通知がいくつか残っている。
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古畑。
クラスLINE。
母。
「……。」
見る気力もない。
返す気力もない。
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香葉は毛布を少しだけ引き上げた。
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病院の天井。
もう見慣れた景色。
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「帰りたいな……。」
思わず漏れる。
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学校。
教室。
ホーム。
クラスレク。
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あの日は楽しかったな。
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そんなことを考えていると、
病室のドアがノックされた。
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コンコン。
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「失礼しまーす。」
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聞き慣れた声。
ガラガラ。
ワゴンを押しながら入ってきたのは草川だった。
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昼食を乗せたトレーをテーブルへ置く。
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「お。」
草川は香葉を見る。
「顔疲れてるな、、、」
「疲れてます。」
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即答だった。
草川は思わず笑う。
「正直でよろしい。」
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香葉はベッドへ沈み込む。
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「もう検査飽きました。」
「知ってる。」
「帰りたいです。」
「それも知ってる。」
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草川は昼食の蓋を開けながら言った。
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「とりあえず食べる。」
「食欲ないです。」
「それも知ってる、、、」
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香葉
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-_-
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「全部知ってるじゃないですか。」
「五日も見てればな。」
草川は苦笑した。
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そして少しだけ真面目な顔になる。
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「午後。」
「?」
「お母さん来るよ。」
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香葉はゆっくり顔を上げる。
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「知ってる。」
「診察でしょ?」
草川は頷いた。
「うん。」
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診察。
主治医。
母。
そして自分。
その組み合わせだけで胸が重くなる。
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何となく分かっていた。
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ただの経過報告じゃない。
そんな気がしていた。
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「……。」
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草川はそれ以上何も言わなかった。
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言えないのだろう。
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でも。
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最後に一言だけ。
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「食べたら少し寝な。」
「……。」
「疲れた顔してる。」
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香葉は小さく頷いた。
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本当に疲れていた。
検査にも。
不安にも。
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そして。
結果を待つことにも。
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午後。
その時が近付いていた。




