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第96話:面会室の再会、あるいは一筋の光
看守に促され、重い扉の向こうへ進むと、
厚いアクリル板の先に九条エマが座っていた。
彼女は私のやつれた姿を見て、悲しそうに微笑む。
「九条さん……。私、やっぱりダメでした。
街を救っても、犯罪者になっちゃった」
消え入るような私の声に、彼女は首を振った。
「いいえ、麗さん。世界中があなたの味方よ。
あの虹色の奇跡を、みんなが見ていたんだから」
彼女は、あの日渡されたペンダントについてや、
世論が麗の釈放を求めて動いていることを、
優しく、丁寧に私へと語ってくれた。
「源造さんがあなたを選んだ理由が、
ようやくわかった気がするわ。あなたは、
あの人の遺した力を、正しく使い切ったのね」
面会時間の終了を告げるベルが室内に響く。
九条さんは立ち上がり、最後に私を真っ直ぐ見つめた。
「大丈夫よ。私がついているし、源造さんも
きっと、何とかしてくれるはずだわ。……またね」
その確信に満ちた言葉を遺して、彼女は去った。
一人残された私は、冷たかった自分の手が
少しだけ温かくなっていることに気がついた。
九条さんの「多分大丈夫」という言葉が、
暗い留置所の中で、消えない灯火のように輝いていた。




