95/205
第94話:法と正義、あるいは冷たい手錠
私は震える手でレバーを引き、重いハッチを開けた。
潮風と共にパトカーの青赤い光が中へ入り込む。
両手を上げてガソタムの肩へ降り立つと、
銃口を向けた警官が信じられない顔で指を差した。
「……おい、これは何だ!?
この巨大なロボットは君が動かしたのか!?」
私は力なく頷き、地面へと誘導された。
そこから始まったのは、感謝の言葉ではなく、
矢継ぎ早の厳しい取り調べだった。
「君、これは重大な法律違反だ。まずは航空法違反。
無許可で空を飛び、航路を乱した。さらに……」
警官はガソタムの頭部を指差し、手帳に書き込む。
「頭部のガトリング砲。これは銃刀法違反、
および武器等製造法違反に該当する。
いや、もはや個人的な兵器の密造だぞ」
「……でも、私はみんなを助けるために……っ!」
私が必死に訴えても、彼らは顔色一つ変えない。
「動機はどうあれ法は法だ。一個人がこれほどの
軍事力を持つことは、この国では許されない」
カチャリと冷たい感触が私の手首に伝わった。
街を救った安堵と、すべてを失った絶望。
おじいちゃんの言った通りだ。
私は英雄ではなく「犯罪者」として、
この夏の終わりの夜に、その名を刻まれた。




