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第87話:白金の残響、あるいは友への誓い
急降下するガソタムの激しい振動の中、
胸元のペンダントが鋭い電子音を鳴らした。
ノイズ混じりに、九条さんの凛とした声が届く。
『……麗さん。結局、起動してしまったのね』
その声は酷く穏やかで、全てを悟ったようだった。
「九条さん! ごめんなさい、私、やっぱり……!
でも、それより早く! 九条さんも逃げて!」
タンカーの衝突まで、もう時間がない。
私は必死に、街の外へ避難するよう叫び続けた。
『いいえ、私はここに残るわ。源造さんが遺した
あなたのその姿、最後まで見届けたいの』
「ダメだよ! 爆発したら、九条さんまで……っ!」
『怖くないわ。……私には見える。空を駆ける
一筋の光の中に、源造さんの魂と、
あなたの揺るぎない正義が輝いているのが』
通信の向こうで、彼女が静かに笑う気配がした。
『さあ行きなさい。街の未来をあなたに託すわ。
大丈夫よ、麗さん。……私は、あなたの味方だから』
そこで通信は途絶え、白金のペンダントは
静かな輝きだけを湛えて、私の胸で揺れた。
「……。九条さん、見てて。絶対に守り抜くから!」
私は溢れる涙を振り払い、視線の先で
巨大な壁のように迫るタンカーの船首を睨みつけた。




