第67話:真夜中の告白、あるいは魂の在り処
豪華な夕食を終え、広々としたお風呂を借りた後。遊び疲れたサキと
チカは、案内された客室で泥のように眠ってしまった。
私は少し火照った体を冷まそうと、静まり返った廊下へと出た。
月明かりが差し込む窓際に、白いガウンを羽織った九条さんが立っていた。
「麗さん、あなたも寝付けないのかしら。……私もなのよ」
彼女は穏やかに微笑み、隣に立つよう促した。そこから見える夜の海は、
昼間の喧騒が嘘のように静かで、どこか寂しげだった。
「源造さんはね、いつも言っていたわ。技術は人を守るためにあるって。
でも、彼の『守る』という執念は、次第に常軌を逸していった……」
九条さんの瞳が、遠い過去を追うように細められる。
「肉体という脆い器を捨てれば、人は永遠に平和を維持できる。……
そういえば麗さん。彼が最後に研究していた、あの理論はどうなったの?」
彼女はふと思い出したように、私を真っ直ぐに見つめて問いかけた。
「人間の精神をデジタル化し、機械の脳へ完全に転送する技術。……
あの『魂の器』への人格移植実験は、ついに完成したのかしら?」
「え……。精神を、デジタル化……?」
私は言葉を失い、心臓の鼓動が耳鳴りのように激しく打ち鳴らされた。
もしそれが本当なら。私のそばにいる「バロ」という存在は、
単なるプログラムではなく、誰かの……。
私は、九条さんの言葉の意味を飲み込めないまま、ただ驚愕に震えた。




