第50話:友情の境界線、あるいは逃げ場なき夜
空中に浮かぶ鮮やかなホログラムの数字が、刻一刻と時を刻む。
その青白い光に照らされたサキが、いつになく真剣な顔で私を見た。
「……麗。さっきからおかしいよ。ポテチも、温度も、今の料理も」
サキは腕を組み、詰め寄るように私との距離をじりじりと詰めてくる。
「私たち、親友だよね? なのに、ずっと何か隠し事してるでしょ。
この3D映像だって何なの? 普通の女子高生の家にあるわけない!」
「そ、それは……。その、おじいちゃんの知り合いの業者の人が……」
「嘘言わないで! 麗の家、一体どうなってるのよ! 正直に言って!」
チカも不安そうな表情で私を見つめ、居間には重苦しい沈黙が流れる。
親友に嘘をつき続ける罪悪感と、ガソタムを隠さなきゃいけない使命。
その板挟みで、私の心は今にもパチンとはじけてしまいそうだった。
(……言いたい。でも言えるわけない。巨大ロボットがあるなんて)
私が唇を噛んで黙り込んでいると、バロのレンズが静かに発光した。
『レイ様。バイタルデータに異常な負荷。隠蔽維持は困難と判断します。
機密保持のため、ゲストの記憶消去プロトコルを開始しましょうか?』
「……っ、そんなの絶対にダメ! サキたちに何もしないで!」
思わず叫んだ私の声が、静まり返った夜の居間に空虚に響き渡った。
サキとチカの目が、驚愕で見開かれる。
誰に向かって叫んだのか。私はついに、決定的な一線を越えてしまった。




