第33話:源造様の美学と、再構築の不安
居間に戻った私は、ようやく解放された安堵感でへたり込んだ。
バロの監視を避けるように、私は制服から部屋着に着替え始める。
「……ねえ、バロ。あの、光で服を脱がせる変態的なシステム。
あれもやっぱり、おじいちゃんが一人で作ったの?」
私がパーカーの首元を整えながら、空中に浮かぶ人型の映像へ聞く。
青白く光る執事姿のホログラムは、恭しく一礼して答えた。
『左様です。衣服を粒子レベルで排除し、再構築する。
源造様がコンマ一秒を削るために開発した、合理的な帰結です』
「……合理的な変態の間違いでしょ。それより、もっと大事なこと」
私は、今脱ぎ捨てたばかりの「再構築された制服」を指差した。
「この服、一回バラバラになってるのよね?
外を歩いてる時に、またいきなり粒子に戻ったりしないでしょうね。
学校の廊下でまっぱだかとか、恥ずかしすぎて死んじゃうんだけど!」
『ご安心ください。再構築後の原子結合係数は、通常時を凌駕します。
特定周波数の光を当てない限り、分解されることはございません』
……特定周波数の光。つまり、おじいちゃんの装置さえなければ、
とりあえずは「着衣」を維持できるということらしい。
「……本当かなあ。おじいちゃんの作ったもの、信用できないし。
だいたい、そんな無駄なところに最新技術を使いすぎなのよ」
脱がされる恐怖と、バラバラになる不安。
私は、おじいちゃんの遺産がもたらす新たなストレスに頭を抱えた。
「……うん。明日は予備の制服を着ていこう。
この『再構成された』制服は、しばらく封印することにするわ」
私は、おじいちゃんの魔改造を受けた制服を隅っこに追いやり、
誰にも見られない自分の部屋で、震える手で深くため息をついた。




