第26話:放課後の逃亡者、あるいは無駄な抵抗
学校が終わった放課後。
私は、校門の前で立ち尽くし、どんよりとした空を見上げた。
このまま家に帰ったら、あのバロに戦闘訓練をさせられる。
……でも、よく考えたら地下室の入り口は私が封じたはずだ。
板を打ち付け、重いタンスで蓋をしたあの地下への階段。
あそこを通らない限り、訓練なんてやりようがないはず。
「……そうよ。ガソタムは動かさないって決めてるんだし。
物理的に入れないんだから、訓練なんて無理に決まってる」
私は自分に言い聞かせ、少しだけ強気になって歩き出した。
ガソタムを動かさないなら、操縦なんて覚える必要はない。
けれど、あのバロがそんな事情を考慮するとは思えない。
あの朝、有無を言わさず突きつけられた一分刻みの予定表。
あの中の『戦闘訓練』の文字が、私の頭から離れない。
「……どうしよう。バロに何て言えばいいのかな」
スマホを握る手が、冷汗でじっとりと湿る。
バロがどうやって訓練を強制してくるのか、想像もつかない。
おじいちゃんの残したシステムは、理屈が通じない怖さがある。
私はだらだらと嫌な汗を流しながら、
不気味なほど静かな、我が家へと続く一本道を歩いていった。
「……お願い。普通に、静かに晩ご飯を食べさせてよ」
私はカバンを強く握りしめ、祈るような気持ちで玄関を開けた。




