第22話:錬金術と、源造様の秘密
私は、ずっと気になっていた疑問をバロにぶつけてみた。
……そもそも、普通の平屋の地下にこんな空間を作るなんて。
「ねえ、おじいちゃんはどうやって誰にもバレずにここを掘ったの?
土を運び出したら、近所の田中さんに絶対怪しまれるでしょ」
『説明より視覚情報が有効ですね。レイ様、こちらを』
バロのホログラムが急激に広がり、居間に立体図面が浮かぶ。
それは、私の家の断面図と、地下に立つガソタムの透過図だ。
『源造様は、搬出という非効率な手段は選ばれませんでした。
源造様は、掘り出した「土」そのものを再利用したのです』
バロが投影する映像の中で、地中の土が粒子状に分解される。
それが、ガソタムの腕や脚のパーツへと吸い込まれていく。
『独自開発した分子再構成機により、土を原子レベルで入れ替え、
この世に存在しない多機能特殊合金へと作り替えました。
これは超衝撃吸収性を持ち、さらに耐熱性、防錆性をも有します』
ホログラム上の装甲板に、猛烈な熱線と衝撃が加えられる。
けれど、その表面には傷一つ付かず、全てを無効化していた。
『さらに分子密度を調整することで、極限の軽量化にも特化。
これだけの性能を、廃棄物ゼロで建造中に付与したのです。
まさに、源造様の執念が生んだ「究極の守護鋼」でございます』
……原子を入れ替えて、無敵の金属をその場で作ったってこと?
あまりのオーバースペックに、私の脳が処理を拒否し始めた。
「……じゃあ、このガソタム。元を辿ればただの泥なの?」
『正確には、この土地のミネラルを豊富に含んだ特殊合金です。
まさに、この町そのものが形を変えて立っていると言えますね』
……感動するところなの、これ?
物理法則すら歪める執念に、私は改めて戦慄するしかなかった




