第5話:天文学的残高、あるいは悪魔の預金
『レイ様。そういえば最近、
ご自身の口座を確認されておりませんな?』
バロがレンズを不気味に光らせ、問いかけてきた。
「口座? Mk-IIの使用料で
すでに一生遊んで暮らせるくらい入ってるでしょ。
……まあ、アプリで今の残高見てみるけど」
私はスマホを操作し、銀行アプリを立ち上げた。
「…………。………………え?」
桁が、さらに増えている。
かつて見た「一生分」の数字が霞むほど、
見たこともない数字の羅列がそこに並んでいた。
「ちょっ、バロ……何これ。
スマホのバグ? なんでさらに増えてんのよ!」
『先ほど申し上げた、各国への
「劣化版合金の製法使用料」ですな。
税金分は別口座へ抜いておきました。
どうぞ、お気軽にお使いください』
「……。なるほどー。これだけあれば、
パンケーキ屋どころか、小麦粉の産地から
買い占められるレベルだねー」
あまりの金額に三度目のめまいを覚え、
真っ白になった頭で頷いた後、
私は絶叫してスマホを放り投げた。
「気軽になんて使えるかぁあああ!!
あんた、これもう一個の国家予算でしょ!
女子高生の個人口座の限界を超えてるわよ!」
『おやおや。おじい様なら
「ちょっとしたボーナスだ」と
笑って済ませるところですぞ』
おじいちゃんの「野望」は、ついに私の
通帳の桁すらも破壊し尽くしていた。




