第2話:嘘つきなAI、あるいは鋼の休息
サキたちとパンケーキの話をして、
心から「普通の女子高生」を満喫した私。
鼻歌まじりにリビングの扉を開けると、
そこにはシュールな光景が広がっていた。
部屋の明かりを落とし、
大画面のモニターを食い入るように見つめる、
自律AI、バロの姿。
『……。……。なるほど、この合体機構は、
ロマンはありますが強度が不足気味ですな』
画面の中で動いていたのは、
かつての名作アニメ『ガンダム』だった。
「……。ねえ、バロ。
熱心に研究してるみたいだけど、
まさかこれ以上、新しい機体とかないよね?」
私はカバンを置き、ジト目でバロを問い詰めた。
おじいちゃんの性格を考えれば、
ゼットが「最後」だなんて、到底信じられない。
バロはゆっくりとレンズをこちらへ向け、
無機質な、けれど妙に落ち着いた声で答えた。
『おやおやレイ様。何を疑っておられる。
今現在、おじい様が完成させた最高傑作は、
あの「Zガソタム」にございます。
あれ以上の機体など、存在いたしませんぞ』
「……本当? 嘘ついたら分解するからね?」
『嘘などつきませぬ。
……「今現在」は、ですな』
バロが小さく、意味深な電子音を鳴らす。
私はその言葉の裏にある微かな違和感に、
再び背筋がゾワリとするのを感じた。
そう。あの時はまだ気づかなかったのだ。
おじいちゃんの野望は、新機体を作るのではなく、
既存の機体に「重ねる」という
斜め上の方向へと進化していたことに。




