第101話:消えた地平線、あるいは凱旋の翼
「……バ、バロ! これ、どうすんのよ!?
地平線まで地面がなくなっちゃってるじゃない!
地形が変わっちゃったわよ、どうすんの!?」
私はモニターに映る巨大な「溝」を指差し、
座席から身を乗り出して叫んだ。
あまりの破壊の規模に、頭が真っ白になる。
『フフフ……。いやはや、さすがの破壊力ですな。
私のシミュレーションをさらに上回る、
実に素晴らしい、芸術的な弾道にございます』
バロは慌てる私を余所に、
ホログラムの胸を張って自画自賛を始めた。
「自画自賛してる場合!?
怒られるわよ、こんなの!
おじいちゃん、絶対やりすぎだってば!」
『おやおや、おじい様を褒めていただけるとは。
これでプロトタイプの残骸は分子レベルで消滅。
技術流出の心配も皆無。完璧な仕事ですな』
「褒めてないわよ! あーもう!
真砂さん! これ、
怒られるよね? 私、弁償とか無理だよ!?」
私はすがるような思いで、
通信ウィンドウの真砂さんに助けを求めた。
『……。……。麗さん。
その……。とりあえず、無事で良かったです。
地形に関しては、こちらで何とか……します』
真砂さんは、見たこともないほど引き攣った
笑顔で、けれど優しく頷いてくれた。
『麗さん、ミッションは全て終了しました。
……お疲れ様。これより日本へ帰還してください』
その言葉に、ようやく全身の力が抜けた。
『ではレイ様、お掃除用具入れのゴミも
しっかり回収しましたし、帰りましょうか』
バロの合図で、人型のゼットが再び
鋭利な飛行形態へとその姿を組み替えていく。
「ゼット、これより帰還します!」
一筋の白い筋を砂漠の空に残し、
私たちはマッハ10の速度で、
懐かしい日本の空へと向けて飛び立った。




