第100話:終焉の閃光、あるいはZの審判
尾田さんを収容し、静まり返った砂漠。
大破したプロトタイプを見つめる私に、
バロが淀みのないトーンで進言した。
『レイ様。このまま残骸を放置することは、
技術流出の観点からもお勧めできません。
……確実に破壊しておくべきですな』
おじいちゃんの「過去」を、私の手で消す。
私は震える声で、自分に言い聞かせるように頷いた。
「……わ、分かったわ。全部終わらせなきゃね」
『左腕のシールドを解除。
Zハイパーレイルキャノン、最終展開!』
指示通りに盾を外すと、内部から幾重にも
折り畳まれた砲身が、鋭い金属音を立てて展開した。
私はそれを大型の拳銃のように両手で構え、
狙いを定めた。手が、嫌な汗で滑る。
『エネルギー充填120%到達! レイ様、撃て!』
バロの絶叫に弾かれるように、私は引き金を引いた。
――カァアアッ!!
視界が真っ白に染まり、コクピットが悲鳴を上げる。
放たれた純白の光束は、プロトタイプを一瞬で
粒子へと溶かし、そのまま大地を深く抉り抜いた。
咆哮を上げる光の奔流は、地平線の彼方まで
突き抜け、熱波で空の雲さえも二つに割っていく。
衝撃が去った後、そこにあったのは、
見渡す限り続く巨大な「溝」だけだった。
「……っ、あ……あ……」
あまりの光景に、私は操縦桿から手を離し、
自分の肩を抱いて激しくガタガタと震えた。
心臓が耳のすぐ側で鳴っているみたいにうるさい。
「なにこれ……! 何なのよ、これ!
こんなの、ただのロボットの出す弾じゃない!
おじいちゃん、何てものを作ったのよ……っ!」
自分の指先が、自分の意志とは無関係に震え、
冷たい汗が全身から噴き出してくる。
地形すら変えてしまう圧倒的な暴力。
私はその「引き金」を引いてしまった恐怖に、
ただ呆然と、消えぬ光の残像を見つめていた。




