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第92話:組織の重力、あるいは選ばれし者の理屈
説得を試みる私に対し、モニターの中の
尾田さんは、血走った目で
鋭く、激しい怒声をぶつけてきた。
『黙れお嬢ちゃん! 俺は……
遊びでやってんじゃないんだよ!』
ピンクのスーツを身に纏いながらも、
その声は鋼のように冷たく、
本物の戦場を求める兵士の熱量があった。
「……遊びじゃないなら、どうしてそんな
無関係な人たちを巻き込むのよ!」
『お前こそ分かっていない! 本当に排除
しなければならないのは、日本の自衛隊に
魂を引かれた人間達だろ!』
尾田さんは画面越しに、激しく指を差した。
『古い組織の慣習や予算、保身にばかり縛られ、
この力の真価を理解しようともしない
矮小な者ども……彼らこそが罪なのだ!』
自衛隊という組織を否定し、
自分だけが「真の力」を正しく扱えるという狂信。
彼はガソタムを手に入れたことで、
自分を組織を超越した存在だと錯覚している。
『俺はこの力で、腐りきった秩序を
根底から変革させる!
邪魔をするなら、その新型ごと排除する!』
尾田さんはプロトタイプの操縦桿を叩き、
空を舞う私に向けて、
殺意の籠もった砲撃を叩き込んできた。




