第85話:全自動の受難、あるいは黄金の竜巻
とうとう出撃の時。
私は、ゼットガソタムに乗り込むため、
あのピンクのスーツに着替えようとした。
「バロ、スーツどこに置いたっけ?
クローゼットにも見当たらないんだけど」
『レイ様。洗浄を施し、
そこのタンスの一番上に入れておきましたぞ』
「あ、そう。ありがと」
私は何の疑いもなくタンスに近づき、
一番上の引き出しに手をかけた。
その瞬間――ガコンッ!
足元の床がいきなり消失した。
「えっ――きゃああああっ!?」
暗い穴の中を真っ逆さまに落ちていく。
すると、落下の途中で凄まじい風……
猛烈な竜巻が発生し、私を飲み込んだ。
凄まじい遠心力。
驚くべきことに、私が今着ている服が
光る粒子に変わり、弾け飛んでいく。
「ちょっと! 服が! 私、全裸なんだけど!」
訳が分からないまま、竜巻が消滅した。
全裸の私は、なおも暗闇を落下し続け、
その下にあった巨大な水槽へドボンと落ちた。
温かい水の中でたゆたっていると、
水全体が青白く光り始めた。
その光が私の肌に吸い付くように集まり、
徐々にスーツの形を成していく。
バチンッ!
形成が終わった瞬間、
周りにあった大量の水が一瞬で消えた。
肌も髪も、どこも濡れていない。
私は、いつの間にかコクピットの
シートの上に、完璧にスーツを着た状態で
座らされていた。
「……。……。バロォオオオ!!」
私の怒号が、ゼットの機内に響き渡る。
『おやおや、お目覚めですなレイ様。
不純物を徹底洗浄し、分子レベルで
スーツを定着させる最新の着替えシステム……
ご満足いただけましたかな?』
おじいちゃんの変態技術、ここに極まれり。
私は屈辱に顔を真っ赤にしながら、
今すぐバロをスクラップにしたい衝動を
必死に抑え込むので精一杯だった。




