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第82話:特例の兵士、あるいは破壊の宣告
翌日、私の家にやってきたのは野田さんだった。
その顔は数日寝ていないかのように青白く、
けれどその眼差しには冷徹な覚悟が宿っていた。
「政府が特例措置を認めた。
……古谷さん、君には一時的に私の部下、
『特殊臨時隊員』としての身分が付与される」
野田さんは、一枚の書類をテーブルに置いた。
「自衛隊の枠組みからも外れた、
独立した権限を持つ兵士という扱いだ。
君を守るための、これが精一杯の盾になる」
「……兵士。私が?」
その言葉の重みに、喉の奥が震えた。
けれど、野田さんはさらに厳しい現実を
突きつけてくる。
「現在、ガソタムの暴れる姿は世界に曝されている。
国際社会の怒りは頂点に達しており……
もはや『拿捕』では納得しない」
野田さんはテレビに映る中東の惨状を指した。
「政府は、プロトタイプの『破壊作戦』を検討中だ。
君に命じられるのは、おじいさんの遺産を
この世から消し去ることになるかもしれない」
あの子を、壊す。
おじいちゃんの傑作を、この手で。
絶望的な言葉が響く居間で、
バロが、静かに、青い光を明滅させていた。




