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第81話:優先順位、あるいは戦火の足音
基地にバロの専用工房を作るだの、
ゼットを移送するだのという話で盛り上がったが、
真砂さんはふと、険しい表情で時計を見た。
「……。いけません、話し込んでしまいました。
移送や改造の話は、あくまで全てが片付いた
『先』の話です」
彼女はきりりと表情を引き締め、
玄関へと向かって歩き出す。
「今は、盗まれたプロトタイプをどうにかする方が
先決です。あの機体が中東で暴れている以上、
一刻の猶予もありません」
そうだ。おじいちゃんの変態発言に毒されて、
つい忘れかけていたけれど。
あの子は今、本物の戦場で
世界を揺るがす事態を引き起こしているのだ。
「……分かりました。真砂さん、気をつけて」
「はい。これからの対応については、
野田と早急に検討して連絡します。
……麗さん、連絡をお待ちください」
真砂さんは短く告げると、
夜の闇に消えるように、車で去っていった。
嵐の前の、静かすぎる夜。
私は静まり返った居間で、
足元に眠る「ゼット」の気配を感じながら、
ニュースの続報をただ見つめることしかできなかった。




