第77話:極限の機体、あるいはZの真価
真砂さんは悔しさを押し殺すように
一度だけ深く息を吐くと、
きりりと表情を引き締めてバロに向き直った。
「……分かりました。無理なことを言って
時間を取らせてしまいましたね。諦めます。
では改めて、野田に報告するための
スペックを詳しく教えていただけますか?」
『承知いたしました。まずは機動力。
可変翼と重力制御の最適化により、
大気圏内での最高速度はマッハ10に達します』
「マ、マッハ10……!?
世界中のどこへでも、数十分で行ける速さだわ」
驚愕する真砂さんに、バロはさらに
信じられない数値を突きつけた。
『そして装甲。プロトタイプの3倍の硬度を
誇る、特殊合金の究極進化版を使用しております。
……あの子と正面から
激突しても、一方的に破壊することが可能です』
「……破壊できるの? バロが絶対に無理だって
言っていた、あのガソタムを?」
私の問いに、バロは静かに頷く。
『左様。このゼットにとって、あの子は
ただの「脆い練習台」に過ぎません。
圧倒的な質量と速度で、粉砕できますぞ』
同じおじいちゃんの設計から生まれた機体なのに、
その性能差はあまりに残酷だった。
書き留める手が震えている真砂さんを見て、
私は自分が手にした「究極の力」の重さに、
改めて背筋が凍る思いがした。




