第74話:鋼の胎動、あるいは鋭利な「Z」
バロの案内で、私たちは地下へと続く階段へ向かった。
かつて私が板を打ち付けて封印した場所。
前の事件の後、再び通れるようにしたその階段を、
一段ずつ慎重に降りていく。
辿り着いたのは、あの広大な地下ハンガー。
けれど、プロトタイプが置かれていた場所には
今、何も無かった。
「……。バロ、何も無いじゃない。
実用機はどこにあるの?」
『レイ様、真砂様。危ないですから
そのまま、白線の内側でお待ちください』
バロの落ち着いた声が響いた、その直後。
ズズズ……ッ!
胃の底を揺さぶるような激しい地鳴りが起き、
ハンガーの中央、コンクリートの床が
左右に大きく割れ始めた。
その巨大な裂け目から、強烈な蒸気と共に
ゆっくりとせり上がってきたのは、
人型からは程遠い、鋭利なシルエットだった。
「……飛行機? いえ、大型の戦闘機……?」
隣で真砂さんが、驚愕に目を見開いて呟く。
そこに現れたのは、ガソタムのような手足も見えず、
巨大な翼を広げた「鋼鉄の鳥」のような塊だった。
『お待たせいたしました。これこそがおじい様の
本当の最高傑作。全領域制覇型実用機……
「J12-GSTM ゼットガソタム」にございます』
これがガソタム……?
あの無骨な巨像の面影はどこにもない。
その翼にはおじいちゃん自筆のような、
誇らしげな型式番号が刻まれていた。




