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第72話:国家の激震、あるいは禁じられた出撃
テレビの映像が切り替わると同時に、
私のスマホが狂ったように震えだした。
画面には「野田」の文字。
「……はい、古谷です。野田さん、今のニュース……」
『ああ、見た。間違いない、ガソタムだ。
……まさか、あんな遠い国に現れるとは』
野田さんの声は酷くかすれ、
背後からは怒号や激しいタイピング音が
受話器越しに漏れ聞こえてくる。
「尾田さんは、どうしてあんな所に?」
『分からん。だが事態はもはや国内問題ではない。
国際紛争の火種になりかねない最悪の状況だ。
今から政府の緊急検討会議を行う』
野田さんは一息つくと、
念を押すように語気を強めた。
『古谷さん。いいか、君は動かないでくれ。
今は家で待機だ。……間違っても、
勝手に出撃しようなどとは考えるなよ』
「……。でも、あの子を止められるのは」
『釘を刺しておく。これは国家の命令だ。
……また連絡する。絶対に動くなよ』
一方的に電話が切れる。
私は静まり返った居間で、
暗転したスマホの画面を見つめ続けた。
『レイ様。大人の事情というのは、
時として火事の最中に消火器の許可を
求めているようなものにございますな』
バロの皮肉が、
焦燥に駆られる私の心に冷たく響いた。




