第67話:真の完成体、あるいは祖父の遺言
「……バロ殿。出し惜しみはやめろ。
その、古谷さんにしかできない方法を教えるんだ」
野田さんが焦燥を押し殺し、バロに詰め寄る。
するとバロは、ホログラムの姿を
いつもの執事から、あのおじいちゃんの姿に変えた。
『ヒッヒッヒ、野田くん。慌てるんじゃない。
実はな、君たちが必死に守っていたガソタムは、
いわばただの「プロトタイプ」に過ぎんのだよ』
おじいちゃんの不敵な笑い声が司令室に響く。
私と野田さんは、同時に驚愕の声を上げた。
「えっ……!? どういうこと、おじいちゃん!」
「試作機……だと? あれほどの性能を持っていてか!」
『ああ、あんなものはまだ未完成だ。
実用機となる「真のガソタム」は、既に完成して、
わしの屋敷の地下に眠っているぞい』
驚愕する私たちに、おじいちゃんは
ニヤリと笑って決定的な違いを口にした。
『プロトタイプと違って、あのスーツを着れば
誰でも動くなんて甘い仕様ではない。
真の機体は、正真正銘レイの脳波を登録済みじゃ。
世界でレイにしか動かせんのじゃよ!』
つまり、国が必死に守り、尾田さんが奪った
あの機体は、本物のガソタムですらなかった。
私の自宅の地下に隠された、本当の最高傑作。
事態は、野田さんたち大人の管理を遥かに超えた、
おじいちゃんの描いた「シナリオ」へと突入した。




