第65話:一番うまく使える、あるいは一パーセントの賭け
「……バロ。もし、私がMk-IIに乗ったら、
ガソタムを止めることはできる?
私が一番、ガソタムをうまく使えるんだから!」
私は司令室のモニターを見つめたまま、
スマホの中のバロに、静かに、けれど強く問いかけた。
おじいちゃんの作った機体の癖も、弱点も、
私以上に知っている人間なんていない。
その自負と覚悟を、私は言葉に込めた。
『……レイ様。冷静にお聞きください。
Mk-IIの武装では、特殊合金のあの子を
破壊することは天地が引っくり返っても不可能です。
何とかして「捕獲」できる確率となると……
わずか一パーセントにございますな』
倒すことはおろか、足止めすら絶望的。
壊れるのは、いつも「脆い」こちら側なのだ。
「一パーセント……」
そのあまりに低い数字に、司令室の空気が凍りつく。
『九条様が軽量化したMk-IIの装甲では、
あの子に一度小突かれただけで、
こちらが木っ端微塵になりかねませんぞ。
……そもそも、現在は居場所すら不明なのです』
バロの指摘は、ぐうの音も出ないほど正論だった。
学校から鞄一つで直行した私には、
着替えの予備スーツすら手元にない。
「……。分かってるわよ、そんなこと」
私は悔しさに唇を噛み、空になった両手を
指が白くなるほど強く握りしめた。
一番うまく使えるはずなのに、
居場所すら分からず、ただ待つことしかできない。
無力感と焦燥が、静まり返った司令室に重く沈殿していく。




