第64話:不壊の巨人、あるいは絶望の性能差
「最悪の場合は撃破する」という野田さんの言葉に、
私のスマホからバロが冷徹な声を割り込ませた。
『野田様。厳しいことを申し上げますが、
Mk-IIではガソタムの破壊は不可能ですな』
「……何だと? 数の上ではこちらが有利だ。
最新の火器も搭載している」
野田さんが反論するが、バロは淡々と、
残酷なまでの事実を突きつけていく。
『確かに、現在の尾田曹長はAIを壊した。
脳波コントロールも使えず、機動性だけなら
Mk-IIと大差ない状態でしょう。……ですが』
バロのホログラムが、真っ赤に燃えるような
ガソタムの装甲データを空間に映し出した。
『あの子に使われているのは、
おじい様が発明した「特殊合金」。
Mk-IIの並の金属弾やミサイルでは、
表面に傷一つ付けることすら叶いませんぞ』
部屋に重苦しい沈黙が流れる。
バロの言葉は、つまり「無敵の盾」を
持った暴君が野に放たれたことを意味していた。
『どうやっても、Mk-IIに勝ち目はございません。
下手に攻撃を仕掛ければ、返り討ちにあって
全滅するのは、そちらの方ですな』
「……。そんな……。じゃあ、
どうやってあの人を止めればいいのよ!」
私の叫びが、無機質な司令室に虚しく響いた。
おじいちゃんが遺した「無敵」という呪いが、
今、牙を剥いて私たちに襲いかかろうとしている。




