第63話:確信の弾劾、あるいは見えない目的
基地に到着するなり、私は野田さんの
待つ司令室へと駆け込んだ。
そこには、眉間に深い皺を刻み、
モニターを睨みつける野田さんの姿があった。
「野田さん……! 尾田さんが、本当に?」
「……ああ。警備の隙を突かれた。
正直、まだ信じられん思いはあるが、
彼でなければこれほど鮮やかな強奪は無理だ」
野田さんは苦渋の表情を見せていたが、
私は無言でバロがハッキングした
コックピット内の映像を提示した。
ピンクのスーツに身を包み、
恍惚とした表情で操縦桿を握る尾田さんの姿。
「……。これで、疑いようのない核心となったな」
野田さんの声が、怒りと悲しみで低く震える。
防犯カメラの死角を突いていた彼も、
機体内部のバロの目までは計算に入れていなかった。
「だが、目的が全く分からん。
このまま亡命する気か、あるいはテロか……。
あいつは一体、本物を奪って何をする気だ」
レーダーが示すガソタムの航跡は、
特定の目的地を持たず、ただ彷徨っているようにも見える。
「理由はどうあれ、放置はできん。
真砂二尉に、Mk-IIでの迎撃を命じた。
……古谷さん。最悪の場合、ガソタムを撃破する」
おじいちゃんの最高傑作が、
後継機に壊される。理由も分からぬまま、
最悪の兄弟喧嘩が始まろうとしていた。




