第61話:桃色の叛逆、あるいは犯人の正体
基地へ急行する車内。私は震える手で学校に
欠席の連絡を済ませると、すぐにポケットの
スマホ……バロに向かって問い詰めた。
「バロ! ガソタムが盗まれたってどういうこと?
あんた、自分の体が動いたの分かってたんでしょ!」
『ええ。今日の早朝、基地内のガソタムが
正式な手順で起動した履歴がございます。
……搭乗者は、尾田曹長ですな』
「尾田さん!? でも、あの人は
スーツがないと動かせないんじゃ……」
すると、シールの貼られた私のスマホから
突然、空中に高精細なホログラムが浮かび上がった。
「……! ちょっと、また勝手にスマホ改造したのね!?」
呆れる私をよそに、バロは淡々と説明を続ける。
『コックピット内の映像を共有いたします。
レイ様、こちらを。犯人の搭乗時の姿ですぞ』
映し出された映像を見て、私は絶句した。
ガソタムの操縦席に座り、不敵な笑みで
コンソールを叩いている尾田さん。
その全身には、あのぴちぴちの
「ピンクのパイロットスーツ」が、
一分の隙もなく完璧に着用されていた。
「……。なんで。あのスーツ、軍が厳重に
管理してたはずでしょ!? なんで彼が!」
『どうやら尾田曹長、保管庫のロックを強引に
突破して持ち出したようですな。
本物を動かすため、男の誇りを捨てたのでしょう』
誇り高き自衛官をそこまで狂わせた、
「本物」の魔力。
ピンクの影を纏ったガソタムは、
今、日本の空のどこかを彷徨っている。




