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第54話:鋼の悲鳴、あるいは屈辱の転倒
隣で滑らかに演武をこなす真砂さんの青い機体。
それに対抗するように、尾田さんの赤い機体が
無理な高速旋回を試みた。
「……危ないっ!」
私が叫ぶのと、赤い巨体がバランスを崩すのは
ほぼ同時だった。
ドォォォォォン!!
地下ハンガーに凄まじい衝撃音が響き渡る。
赤いMk-IIは、受け身も取れずに
地面へ盛大に突っ伏した。
「尾田曹長! 応答しろ!」
野田さんが血相を変えてマイクを掴む。
モニター越しに、ひしゃげた機体の
無惨な様子が映し出された。
「……あちゃあ。これ、直すの大変そう」
私が思わず漏らした感想通り、
地面に叩きつけられたMk-IIの装甲は、
無惨に凹み、歪んでしまっていた。
初代ガソタムなら、この程度の衝撃なんて
傷一つ付かずに跳ね返していただろうに。
「……装甲の強度が、やはり足りんか。
九条の用意した合金でも、この重量を
一点で支えるには限界があるようだ……」
野田さんが苦渋の表情で、モニターを睨みつける。
見た目は立派なヒーローロボットでも、
その中身は驚くほど繊細で、
そして脆いのだという現実を、見せつけられた。




