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第52話:鋼の歩み寄り、あるいは仕様の変更
真砂さんの青い機体に見惚れていると、
ふと隣に並ぶ赤いMk-IIのハッチが開き、
見覚えのある小柄な人影が乗り込むのが見えた。
「……あ、尾田さんだ」
彼は真剣な表情でチェックリストを睨み、
赤い機体の各部を動かし始めている。
私は驚いて、隣の野田さんに質問した。
「野田さん。尾田さんも乗るってことは、
男の人も動かせるようにしたんですか?」
「ああ。少々、仕様を変更させてもらった」
野田さんは腕を組み、モニターを見つめた。
「君の機体は『あのスーツ』が起動キーだったが、
Mk-IIは九条さんのエンジニアチームが、
より汎用的な認証システムに書き換えたんだ」
「……。つまり、あのピンクのスーツを
着なくても動くってことですか?」
「そうだ。普通の制服や訓練服でも起動できる。
尾田も、あれでようやく『男のプライド』を
守りながら戦えるようになったわけだ」
赤いMk-IIが、ゆっくりと重厚な一歩を
踏み出し、尾田さんの意思を証明するように
拳を高く突き上げた。
おじいちゃんの「こだわり」を、
国の技術が力ずくでねじ伏せた光景。
けれど、バロのあの「不敵な笑い」が
頭をよぎり、私は再び不安に駆られた。




