第47話:感謝の重み、あるいは疑惑の振袖
ネットに絡まって派手に転倒した男は、
「なんだこれ、取れねえ!」と地面で藻掻いていた。
そこへ、騒ぎを聞きつけたお巡りさんたちが
人混みをかき分けて駆けつける。
「……。なんだこの網は? とにかく、
君、署まで来てもらおうか」
男は網ごと芋虫のように担がれ、
困惑するお巡りさんたちに連行されていった。
「麗、すごい! 今の何!?
必殺技みたいでかっこよかった! ありがとう!」
サキが涙目で私に抱きつき、何度も感謝を口にする。
戻ってきたバッグを抱きしめる彼女の笑顔に、
私は「……よかったね」と返すのが精一杯だった。
けれど、心の中は少しも晴れていない。
……ただの晴れ着じゃなかったんだ。
おじいちゃん、一体これに何を仕込んだの?
私の足首には、まだ兵器の冷たい感触が残っている。
普通の振袖に捕縛装置を隠すなんて、
どう考えても正気の沙汰じゃない。
(バロ……あんた、後で絶対に問い詰めてやる!)
ふつふつと湧き上がるバロへの怒り。
でも、もしこの機能がなかったら、
サキのバッグは返ってこなかった。
「……。本当、卑怯だわ、おじいちゃん」
役に立ったのは確かだけれど、
自分の体が「歩く武器庫」にされている事実に、
私は複雑な気分で、周囲の視線から逃げるように
足早に歩き出した




