第45話:新春の賑わい、あるいは平穏の祈り
駅の改札で待っていたサキとチカは、
私の振袖姿を見るなり「お姫様降臨!」と
拝むようなポーズで大騒ぎした。
二人も可愛らしいカジュアルな冬服姿。
私たちは腕を組み、屋台の香ばしい匂いが漂う
大きな神社へと繰り出した。
参道は溢れんばかりの人混みだったけれど、
おじいちゃんの超技術で着崩れ一つない
自分の姿に、少しだけ自信を持って歩く。
「……。本当、こういう普通のお正月が
一番いいよね。戦いも訓練もなし」
屋台で買った甘酒のカップを手に、
温かい蒸気を浴びながら私は幸せを噛みしめる。
周囲には晴れ着を褒める温かな声や、
楽しげな家族連れの笑い声が溢れていた。
長い行列に並んで、ようやくお賽銭箱の前へ。
私は鈴を鳴らし、二拍手して静かに目を閉じた。
(神様。どうか今年は、おじいちゃんの趣味に
これ以上振り回されず、平和に過ごせますように。
あ、ついでに野田さんからの呼び出しが
大幅に減ることも、何卒ご検討ください……)
自分のことながら、なんとも切実な願い。
顔を上げると、サキがニヤニヤしながら
私の顔を覗き込んできた。
「麗、今のめちゃくちゃ長かったね!
何お願いしたの? やっぱり、新しく作る
ガソタムMk-IIの成功祈願とか?」
私は苦笑いして、首を横に振った。
「まさか。そんな重たいこと、神様に
押しつけるなんて恐れ多いわよ」
その後、三人で運試しの「おみくじ」を引くと、
私の結果はなんとも微妙な『中吉』。
『騒がしい一年になるが、財を成す』
『待人は遅れるが、必ず来る』
どこか昨日の野田さんとの契約を
予言しているような文面に、私はため息をつき、
しっかりと境内の結び所に括り付けた。




