第15話:勝利の代償と、隠蔽の誓い
結論から言おう。私の作戦は、予想を遥かに超えて成功した。
あの会議室での話し合いの様子は、メディアを通して瞬く間に、
全国へと大きな波紋を広げることになったのだ。
ネットニュースの見出しには、扇情的な言葉が躍っている。
『強引な再開発に、女子高生が涙の訴え。市側の冷徹な対応』
構図は完全に、市という巨大な権力が、冷血な大人が、
かわいい子供――つまり私を、泣かせてまで利益を追求している。
……そんな、正義と悪の対決として定着してしまった。
「安室という担当者の態度は、あまりに不誠実だ」
そんな世論のバッシングに押され、市側は一時撤退を余儀なくされた。
当面の間、強引な地質調査や工事は見送られることになったのだ。
……勝った。とりあえず、私の平穏は守られた。
地下のガソタムにドリルが突き刺さる悪夢は、一旦消えた。
けれど、安堵の冷汗を拭いながら、私は思う。
全国に顔が売れ、『悲劇の守護神』として注目される日々。
一歩間違えれば、好奇心の目が地下室へと向けられるだろう。
私は、リビングの畳の下に眠る巨大な鉄塊を意識した。
おじいちゃんの遺した、出力六万五千馬力の不祥事。
これからも私は、この秘密を隠し通さなければならない。
たとえ、どんなに卑怯な手を使っても。
たとえ、あの安室さんに蛇のように睨まれ続けても。
「……やるしかないんだから。死ぬまで、黙り抜くわ」
私は、自分の名前のルーツであるアニメの主役のように、
決意を込めて拳を握りしめた。
……絶対に、読み方は『うらら』だけど。




