第39話:黄金の設計図、あるいはマークIIの胎動
私は野田さんを居間へ通し、温かいお茶を出した。
彼は一口啜ると、手元の鞄から書類を取り出した。
「古谷さん。以前の提案、正式に政府の許可が下りた。
新しいガソタムの製造を開始する」
「えっ!? ……そんなに早く決まったんですか?」
驚く私に、野田さんは淡々と事務的な口調で答える。
「我が国の安全保障は一刻を争うのでな。
つきましては、約束通り設計図を頂きたい」
彼は書類を指で叩きながら、具体的な額を提示した。
「使用料として、1体作るごとに1000万。
そして運用料として、1体につき年間500万払う。
50体作る計画なので、最初に5億円。
加えて毎年2億5千万を君に支払うことになる」
「……っ!? 多すぎます! そんなの無理です!」
私は椅子から転げ落ちそうになりながら叫んだ。
「その百分の一、いえ、千分の一でもいいです!
私はただの高校生なんですよ!?」
「……古谷さん、高度な技術を借用するんだ。
こちらとしても不当に安く叩くわけにはいかん」
結局、押し問答の末、提示額の「十分の一」で決着した。
それでも、最初に5000万、毎年2500万円が
振り込まれる計算だ。私は冷や汗が止まらなかった。
『レイ様。話がまとまったようですな』
今まで黙っていたバロが静かに現れ、
宙に銀色のデータチップを出現させた。
『これがガソタムの設計図一式でございます。
……せいぜい、大切に扱うことですな』
野田さんはそのチップを慎重に鞄へと収めた。
「感謝する。……ちなみに、新しく作る機体だが、
名称は『ガソタムMk-II』だ」
おじいちゃんの遺産が、ついに「マークII」として
国の予算で量産されようとしていた。




