第37話:聖夜の余韻、あるいは静かな別れ
賑やかだったパーティも、夜の更けと共に
少しずつ落ち着きを取り戻していった。
後ろの方では、サキとチカがさっき貰った
データチップをスマホに繋ぎ、
「わあ! スローにすると光の粒がすごい!」
「ちょっと今の私、顔が変じゃない!?」
と、変身シーンを見返してはキャーキャー騒いでいる。
私は、玄関で帰宅の準備を整えた真砂さんに
思い切って声をかけてみた。
「真砂さん、明日はお仕事なんですか?
……もしよろしければ、今日はこのまま
泊まっていきませんか?」
真砂さんは一瞬、驚いたように目を見開いた後、
いつもの凛々しくも優しい微笑みを浮かべた。
「お気遣い、痛み入ります。古谷さん。
……お言葉に甘えたいのは山々なのですが、
明日は早朝から基地での任務がありまして」
彼女は、大切そうに抱えた新品のブラックスーツを
軽く叩いて、私に目配せをした。
「これを着て、またお会いしましょう。
次は……コックピットの中かもしれませんね」
「はい。楽しみにしてます。あ、でも、
あんまり無茶な訓練はしないでくださいね?」
真砂さんは「善処します」と短く答えると、
冬の冷たい空気の中へと颯爽と歩き出していった。
去っていく彼女の背中を見送りながら、
私は少しだけ、次の「教育係」の仕事が
楽しみになっている自分に気づいた。




