第36話:虚像の戦隊、あるいは消えぬ証拠
滑り台を降り切った先。
地下ドックには、鮮やかな五色のスーツを
纏った私たちが勢揃いしていた。
元気なイエローのサキに、知的なブルーのチカ。
真砂さんは、夜の闇のように
凛々しく引き締まったブラックのスーツ。
「……私は、やっぱりこのピンクなのね」
いつもの姿に戻った私。ガソタムは回収されて
ここにはないけれど、バロが空中に
巨大なガソタムのホログラムを投影した。
『さあ、本物と見紛うばかりの背景ですぞ。
皆様、最高の笑顔でポーズを!』
巨大なロボットを背負うように並び、
私たちはタイマーをセットしたバロの前で
賑やかに記念撮影を行った。
『実に見事な「戦隊」にございます。
皆様、本日の素晴らしい思い出として、
先ほどの変身シーンの映像をお土産に
お持ち帰りになりますか?』
バロが澄まし顔で、小さなデータチップを差し出した。
「わあ、すごーい! 一生の記念にするね!」
「自分の変身シーンなんて、一生見られないもの。
ありがとう、バロさん!」
サキとチカが目を輝かせて、チップを喜んで
受け取っている。それを見て、私の眉間が動いた。
「……ちょっと待って、バロ。
さっき『記録は絶対に禁止』って言ったわよね?
お土産があるってことは、やっぱり
バッチリ記録してるんじゃない!!」
『おや、これは「バックアップ」という名の
不可抗力でございます。消去ボタンを
押す指が、なぜか麻痺しておりましてな』
「おじいちゃんのスケベ根性が麻痺してるだけでしょ!」
私がチップを奪い取ろうと追いかけ回し、
サキたちがそれを笑いながら逃げ回る。
ガソタムが回収されて、ようやく手放せた平穏。
こんなドタバタな時間こそが、
今の私にとっては、何よりも大切なものだった。




